2026.07.06
【矯正症例】7歳 女の子「下の前歯がガタガタしている」固定式拡大装置を併用したワイヤー矯正治療

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 治療内容 | 固定式装置による上下顎の歯列拡大 およびワイヤー矯正(Ⅰ期治療) |
| 年齢 | 7歳11ヶ月 |
| 性別 | 女の子 |
| 期間 | 約5年 |
| 費用(税込) | 診査・診断 27,500円 矯正治療(1期のみの場合) 330,000円 (別途、毎回の処置料5,500円) |
| リスク・副作用 | 矯正装置装着による痛みや不快感、 歯磨きがしにくくなることによるむし歯のリスク |
1. 患者さんのご紹介(主訴・お悩み)
今回ご紹介するのは、下の前歯のガタガタが気になるとのことでご来院された7歳11ヶ月の女の子の症例です。
保護者の方からは、永久歯が生え始めてきたものの、明らかに並ぶスペースが足りず、歯並びが乱れていることを心配されているとご相談をいただきました。乳歯から永久歯への生え変わりが本格化するこの時期は、将来の整った歯並びを目指すための土台作りとして大切なタイミングです。患者さん本人も、これから生えてくる新しい歯がきれいに並ぶように頑張りたいという前向きな気持ちで治療を開始することとなりました。
2. ご来院時の状態と診断
お口の中を拝見したところ、顎の大きさに比べて永久歯のサイズが大きく、歯が並ぶための十分なスペースが不足している「叢生(そうせい)」の状態であると診断いたしました。
特に下の前歯の部分では、新しく生えてきた永久歯が本来の位置から重なり合って生えており、このまま経過を見ると、他の歯が生えてくるスペースにも影響を及ぼす可能性がある状態でした。
顎の成長を利用できる小児期において、まずは歯列の幅を広げることで、永久歯が自然に並ぶためのスペースを確保することが望ましいと考えられました。


【コラム】叢生(そうせい)とは
歯の大きさと顎の大きさのバランスが崩れ、歯が重なり合ってガタガタに生えている状態のことです。一般的には「乱ぐい歯」とも呼ばれます。
3. 治療計画
診断結果に基づき、以下の治療計画を立案いたしました。
①固定式装置による歯列の拡大
上顎にはQH(クワドヘリックス)、下顎にはBH(バイヘリックス)という固定式の装置を使用します。これらを用いて、歯の生える場所を作るために歯列を側方に拡大していきます。
②側方歯群の生え変わり待機
乳歯の奥歯(C、D、E)が永久歯(3、4、5番)に生え変わる時期を見守ります。
③ワイヤー矯正による調整
固定式装置によって確保したスペースに永久歯が生え揃った後、歯の向きや位置を整えるためにワイヤー矯正を行い、最終的な噛み合わせを完成させます。
【コラム】QH(クワドヘリックス)・BH(バイヘリックス)とは
歯の裏側に装着する固定式の矯正装置です。バネの力を利用して、狭まっている歯列を横に押し広げることで、永久歯が並ぶためのスペースを作ります。
4. 治療時
治療は長期的な計画に基づき、段階を追って進めていきました。
①装置の装着と経過
まず上顎にQH(クワドヘリックス)、下顎にはBH(バイヘリックス)の固定式装置を装着し、徐々に歯列の幅を拡大していきました。装着から約10か月が経過した段階で、前歯付近に明確な隙間ができ始め、永久歯が並ぶためのスペースが確保されていることが確認できました。
上顎/QH(クワドヘリックス)

下顎/BH(バイヘリックス)

②永久歯の誘導
上顎の前歯は、装置で作ったスペースを利用して生えてきましたが、少し向きに傾きが見られたため、ここからワイヤーによる部分的な修正を開始しました。ワイヤーでの調整を約3年9か月行い、全体のバランスを整えていきました。

③生え変わりの管理
側方歯群(乳歯の奥歯)の生え変わり時期には、無理な力をかけず、自然に永久歯に置き換わるのを待ちます。この期間は装置による積極的な移動は行わず、定期的にお口の状態を確認するメンテナンスを中心に進めました。
5. 治療後・予後


約5年にわたる治療の結果、主訴であった前歯のガタガタは解消され、永久歯が歯列内に整って並びました。
現在はすべての装置を撤去し、歯並びとかみ合わせの安定を維持するための保定期間に入っています。小児期から治療を開始したことで、顎の成長を活用しながら、お口の環境を整えることができました。今回の治療の流れが当院のオーソドックスな小児矯正治療になります。
当院では、お子さん一人ひとりの成長段階に合わせた無理のない矯正治療を行っています。お子さんの歯並びや生え変わりで気になることがある方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
※Ⅰ期治療内のできる範囲での矯正→Ⅱ期治療については患者さんと相談しています。
監修
もりした歯科医院 院長 森下 徹(もりした とおる)
【経歴】
平成 8年 洛星中学校 卒業
平成11年 洛星高等学校 卒業
平成17年 国立大阪大学歯学部 卒業(歯科医師免許取得)
平成17年 医療法人 翔己会 かい歯科 勤務
平成21年 同法人 南茨木プラザ歯科 医長 就任
平成24年 もりした歯科医院 開業
【所属学会・スタディーグループ】
・明石矯正研修会
・GPO(General Practice Orthodontics)
・顎顔面矯正治療研究会
・日本口腔インプラント学会
【修了セミナー】
・明石矯正研修会 レギュラーコース
・明石矯正研修会 アドバンスコース
・GPO矯正コース
・顎顔面矯正治療コース
・3iインプラントコース
・補綴(セラミック)における支台歯形成コース
・FAPホワイトニングセミナー
【専門分野】
・一般歯科
・小児歯科
・矯正歯科
・インプラント治療
・補綴治療(セラミック)
・予防歯科
